
使用実例作品紹介
AIJPびざん手漉き紙を使った写真作品

写真家の田川梨絵さんによる、AIJPびざん手漉き紙を使った写真作品をご紹介します。
びざんは手漉き和紙ならではの四方の耳とラフなテクスチャーが独特の素材です。
東京、パリ、シンガポールの3都市のシリーズから構成される作品は、田川さんのもつ死生観が情景として存在しています。
1点1点の中にドラマがあり、映る人の表情やシルエット、構図に深く魅入られます。
「都市など撮っていない。
私はそこに投影した私の死生観をみている」
田川さんの作品を通じ、それらに触れ、共有したような、ふしぎな心持ちになります。
田川梨絵さんの写真展 「私の手の中に花を摘む」で展示された作品をご紹介しました。
会期:2019年11月15日(金)~27日(水)11:00~19:00
会場:LUMIX GINZA TOKYO
14歳の私は家のキッチンにいた。
土曜の昼下がり。
授業が終わり、家に帰ると誰もいなかった。
お昼ご飯を作ろうとコンロの前に立つ。
窓から入る光にまぶしさを感じた時、ふとある思いが頭をよぎった。
「今私が生きてるってなんで思ってるんやろう。
実は私は死んでいて、今身の回りで起こっていることは全て私の想像なんじゃないか。」
14歳の私は玄関先で一息つく。
「さあ、笑顔でただいま!を」
どこかで周りの人たちに怒っていた。
私を見て。
笑顔の裏を見て。
その思いは違う形で今の私に存在する。
都市など撮っていない。
私はそこに投影した私の死生観をみている。
- 制作者
- 田川梨絵
- 使用した用紙
- AIJPびざん手漉き紙
- 技法
- インクジェット印刷