使用実例作品紹介

紙すき原料を使った作品

紙すき原料を使った作品

イ・ヘリムさんは、和紙の原料である「楮ウェット原料」「木材パルプ原料」を使った作品を作られています。

 

今回は、イ・ヘリムさんの《Sequence》シリーズをご紹介します。

  

目に見えない時間に形があるとしたら、どんな形をしているか考えたことがある。
《Sequence》シリーズはその問いに対する一つの答えになるだろう。
 一般的に使われる「時間が積もる」という表現から「時間は上から下に落ちる形ではないか」と考え、
洞窟の天井から床に向かって成長していく「鍾乳石」をイメージしながら作ったのが《Sequence》で ある。
つまり、地中に根を下ろした植物が上に伸びていくのとは逆に、固定された一点で次々と下に 向かって流れ落ちること、
そしてその降りてくるものが集まって一つの層を成すこと、それが私が 形象化した時間なのである。

 

 

 

 

私たちの時間は、多くの記憶が地層のように積もって構成されたものである。
記憶の断片が一つ一つ 積み重なり、長い一つの流れを作る。
小さな紙切れが連なる《Sequence》は一人の記憶貯蔵庫ともいえる。
人が同じ方向と速度で過去から現在を経て未来に向かうという仮説は、もはや絶対的真理とは 言い難い。
過去になった時間性に対する人のリズムと速度はそれぞれ違って存在する。
経験によって 印象に残る要素や景色も変わってくるし、その記憶の意味も重さも人それぞれである。

 

 

 


私は《Sequence》を作ることにあたり、紙の原料となるコウゾと木材パルプを加工し、
漉き、 それで作られた紙を一定サイズの紙チップにし、ワイヤーを通し、一本の細い柱の状にさせる。
ひたすら紙を漉き、ちぎり、ワイヤーを通す反復的作業そのものが作品という実体になり、
制作にかけた時間がまさに物質性を持った時間として現れるのである。
また、完成して 展示されるという視点からみると作品はすでに過去のものと見なされるが、
観客の動きによって 作品が揺れ動く瞬間は今この空間にある作品の時間を現在に変えることも可能にさせる。

 

 

 

 

 

 

イヘリムさんの作品 《Sequence》は、2024年10月、韓国・ソウルの個展で発表されました。

 

 

そして12月の今、イヘリムさんの作品の展示が韓国 ソウルにて開催中です。

<spiral flow - 待つことを期する心構え>

開催期間: 2024年12月18日(水)~12月31日(火) 10:00-18:00
休館日: 毎週月曜日
会場: KCDF GALLERY
https://www.kcdf.or.kr/main
韓国 ソウル特別市 鍾路区 仁寺洞11キル 8 2階 展示室2



制作者
イ・ヘリム (LEE hyelim)
作品名
Sequence
技法
インスタレーション