使用実例作品紹介

AIJP三椏二層紙ロールを使った掛け軸写真作品

AIJP三椏二層紙ロールを使った掛け軸写真作品

瀧本幹也さんの写真展「LUNATION 朔望―海から天体を読む」を観に茅ヶ崎美術館を訪ねました。

会場では、1997年〜2026年の作品が多数展示されていました。

 















 

観る者を飽きさせない様々な工夫を凝らされた作品の数々です。

そして、こちらの掛軸仕様の「LUNATION: CHIGASAKI #01」が、アワガミファクトリーの和紙をお使いいただいた作品です。

AIJP三椏二層紙のロールをお使いいただきました。

 

 

                         
                    LUNATION: CHIGASAKI #01

                     

                          2026

 

                                                Pigment print, Hanging scroll

                                                       Awagami Factory AIJP Mitsumata double layer

                                            1578×565mm

 

 

 

光は、過去から届く。

この石の塔は、平安時代後期につくられた滑石製の経典を納めた経筒外容器である。

経塚に埋められ、およそ九百年ものあいだ、土の中で眠り続けていた。

仏の教えが失われ、世が乱れていくと信じられた末法の時代。

経典は、まだ見ぬ未来の誰かへ託された一通の手紙だった。

時を越えて届くことを願い、地中へ埋められたタイムカプセルである。

星や銀河の光もまた、同じ旅を続けている。

夜空に見える光は、遠い過去を出発し、何年、何万年、時には何百万年という時間を旅して、ようやく私たちの目に届く。

私たちはいつも、少し昔の宇宙を見ている。

経筒の傍らに掛けたのは、銀河のように見える一枚の写真である。

だが、これは宇宙ではない。
茅ヶ崎の浜辺で、波が砂をさらった直後に現れた、ほんの一瞬の情景である。

濡れた砂に月光が差し込み、銀河のような風景が立ち現れた。

月から地球へ光が届くまで、約1.3秒 ー その時間を露光時間に設定して制作した。

石の塔が九百年という時間を地中に抱いてきたように、写真はその時間を、 内に閉じ込めている。

宇宙から届く光も、九百年前に埋められた経典も、写真もまた、時間を未来へ運ぶための器なのかもしれない。

写真とは、その時間を未来へ託す、小さな経筒なのである。


 

 

 




瀧本幹也 LUNATION 朔望―海から天体を読む

2026年9月2日(水)-11月8日(日)


茅ヶ崎市美術館
〒253-0053
神奈川県茅ヶ崎市東海岸北1-4-45

 

 

 

 

制作者
瀧本幹也
作品名
LUNATION: CHIGASAKI #01
使用した用紙
AIJP三椏二層紙
技法
インクジェット印刷(顔料プリント)